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「恐れる」人々

中医学には、五行学説という基礎理論があります。

この世界を構成する全ての要素は木火土金水の五行に分類され、五行の関わり合いでこの世界は成り立っている。

簡単に言うとそういう思想です。

この世界を構成する全ての要素ですから、五行の中には人体も含まれます。五臓です。

五臓とともに、五感(感情)も存在します。

木(肝)怒

火(心)喜

土(脾)思

金(肺)悲

水(腎)恐

 

最近私は、五行の「水」、五臓では「腎」、五感では「恐」についてよく考えます。

弱い犬ほどよく吠えると言いますが、恐れが強い人は自己防衛のため他者に対して攻撃的になります。

 

他人の何でもない行為が自分への攻撃に思え、倍返しの攻撃で対抗する。

いつか危害を加えられるかもしれないと怯え、倍返しの攻撃を準備する。

問題があるのは相手ではなく自身なのですが、恐怖に駆られているため常に自身は被害者だと思っています。

私は昨今、このタイプの人の「恐れ」が狂い回って社会を、人を、破壊していると感じます。

 

腎が弱い体質を「腎虚」といい、普通は中年以降、老化で腎虚になります。

一般的に年をとると保守的になるのは、「腎」の弱りとともに「恐」の感情が目立ってくるからでしょう。

変化は恐ろしい。挑戦は恐ろしい。知らない人は恐ろしい。強いものに従うから、その代わり守ってほしい。

若くてもそうした傾向が強いなら、だいぶ「腎」が弱っているのではないでしょうか。

社会の最小単位は個人ですから、世相を眺めると、あながち私の妄想でもないのかなあと考えるのです。

 

(文責:春田 有紀子)